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エイズになると死ぬのか?

日本で初めてエイズ患者が出た時、日本中が大パニックになりました。
当時は同性間のSEXによって感染する病気と知られていたのですが、同性愛者ではない患者が出た事で混乱に陥ったのです。
保健所や医療機関に感染不安の電話が殺到し、または自分も絶対に感染しているとノイローゼになってしまう人まで出てしまいました。
さらにその患者が発表から3日で死亡したため、エイズ=すぐ死ぬ病気という印象を持たれるようになりました。

今でも根強く不治の病というイメージがつきまといますが、エイズはすぐに死ぬという病気ではありません。
エイズは後天性免疫不全症候群とも呼ばれ、ヒト免疫不全ウイルスとも言われるHIVが原因となります。
HIVは人の免疫細胞に感染して破壊していき、最終的に重篤な免疫不全状態にまで陥ってエイズ発症となります。

HIVの感染経路は性的感染と血液感染、母子感染の3つに絞られますが、ほとんどが性行為によるものです。
感染した約2週間後ぐらいに急性症状が出る事があります。
発熱や咽頭痛、倦怠感などインフルエンザのような症状で、この時点でHIVに感染している事に気づく人はほとんどいません。
また急性症状は必ずしも出る訳ではなく、急性期でも全く症状が現れない人もいます。

急性症状は数日から数週間で自然におさまり、その後は無症状期と呼ばれる状態に入ります。
無症状期の期間は2年から10年以上と個人差がありますが、この時期も確実にHIVによって体の免疫細胞は破壊され続けています。
何も治療を受けずにいると免疫力は低下し、健康な人ならば普通は感染しないような感染症や悪性腫瘍になり、それがエイズ発症となります。

HIVが厄介なのは、検査を受けないと感染の有無がわからない事です。
最近は母子感染を防ぐために妊婦健診でHIV検査が勧められる事が増えましたが、まだ自らの意志で積極的に検査を受けようとする人が少ないのが現状です。
ただ検査を早めに受ける事で、早期の段階で治療を開始出来る、パートナーや配偶者への感染を予防する事が出来るなどのメリットがあります。

エイズの研究はどのくらい進んでいる?

現代はエイズに関する研究も進み、エイズがどこから発生した病気なのかという事もわかってきました。
まずHIVウイルスは、ゴリラやチンパンジーなどの類人猿から人間に感染した事が判明しています。
ゴリラやチンパンジーなどの大型類人猿は人間とほぼ同じDNAを共有しているようで、ハンターがチンパンジーを虐殺した際にHIVに感染したと言われています。
さらにハンターが性行為によって他の人に感染させ、またコンゴの診療所での継続的な皮下注射器の使い回しで感染が拡大しました。

昔は明確な治療法が確立されていなかったため、エイズを発症すると多くの患者が2年ほどで亡くなりました。
今は治療の研究も進んでおり、抗HIV薬の開発によって劇的に患者の寿命が延びました。
抗HIV薬自体も進化しており、以前は副作用が強い事もありCD4陽性リンパ球数がある程度の数値まで下がってから治療を開始するというのが主流でしたが、最近は副作用の少ない治療薬が開発され、早期で治療を始めるようになっています。

また抗HIV薬の服用が昔は1~2剤だったのに対し、現在は3~4剤の内服薬を組み合わせて治療を行っています。
3~4剤を同時に服用する事で、HIVウイルスが耐性を獲得して薬が効かなくなるという事態を避けられます。
この強力な抗ウイルス療法により、感染者の予後も飛躍的に改善しています。

抗HIV薬で体内のHIV量をコントロールし、病気の進行を抑えたり遅らせたりする事が可能になりました。
HIVに感染してもエイズの発症を予防出来るようになり、今や慢性疾患の一つとしても考えられています。
ただしHIVを体内から完全に消滅させる事は出来ず、また薬の飲み忘れによって治療が困難になってしまう事も今後の課題であります。

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